住宅パース制作｜種類別の費用と外注のポイントを比較解説

● 視点による主な種類

住宅パースは、描かれる視点によって「外観パース」「内観パース」「鳥瞰パース」の3種類に分類されます。それぞれ表現する内容や目的が異なります。

■ 外観パース

建物そのものの外観デザインや、周囲の環境との調和を表現するパースです。住宅全体のデザインや使われる素材、色などを具体的に示すことで、完成後のイメージを共有しやすくなります。建物のシルエットや窓の配置、屋根の形状などをリアルに描写します。

■ 内観パース

住宅の内部空間を描写するパースです。リビング、キッチン、寝室などの各部屋の雰囲気やレイアウト、家具、照明などをリアルに表現します。実際にそこで暮らすイメージを具体的に伝えられ、インテリアデザインの検討にも役立ちます。

■ 鳥瞰パース

住宅や敷地全体を上空から見下ろす視点で描かれるパースです。建物と庭、駐車スペース、周辺の街並みといった全体配置や動線を把握するのに役立ちます。とくに、敷地全体を使った外構計画や、複数の建物がある場合の提案に適しています。

● 制作方法による違い

これらのパースは、さらに制作方法によって大きく2種類に分類されます。それぞれ異なる特徴があります。

■ 手書きパース

職人の手によって、色鉛筆やアルコールマーカーなどを使って描かれるパースです。手書きならではの温かみのある独特の風合いが特徴です。詳細がまだ決まっていない段階でも、大まかなイメージを伝えるのに適しています。

■ CGパース

コンピューターグラフィックスソフトを用いて制作されるパースです。写真のようにリアルな表現が可能で、素材や色の変更、アングルの調整が比較的容易な点が特徴です。精密な完成イメージを伝えるのに適しています。

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● 外観パース

住宅の外観全体を表現する外観パースは、比較的標準的なパースとして多くの制作会社が提供しています。一般的な費用相場は、CGパースで4万円から6万円程度からスタートすることが一般的です。建物の規模やデザインの複雑さ、植栽や周辺環境の描写の細かさによって費用は上がります。手書きパースの場合、作家の個性や技量によって価格帯が広がり、数万円から数十万円となることもあります。

● 内観パース

住宅の内部空間を表現する内観パースも、外観パースと同様に一般的です。費用相場は、CGパースで4万円から6万円程度から始まるケースが多いですが、描く部屋の数や広さ、家具・小物などの配置、照明効果の表現によって費用が変わります。リビングやキッチン、寝室など、複数カットが必要な場合は、その分費用も増加します。手書きの内観パースも可能ですが、外観パースと同様に手書きならではの価格帯になります。

● 鳥瞰パース

住宅や敷地全体を上空から見下ろす鳥瞰パースは、敷地全体の計画や周辺環境との関係性を示すのに適しています。建物だけでなく、庭や駐車場、隣地との境界なども含めて表現するため、外観や内観パースと比較して情報量が多くなる傾向があります。費用相場は、CGパースで7万円から15万円程度となることが多く見られます。敷地の広さや、描く範囲、周辺環境の描き込み具合などが費用に影響します。

● 品質レベルによる違い

上記の費用はあくまで一般的な目安であり、パースの品質レベルによって大きく変動します。

■ プレゼンレベル

施主への提案など、簡易的なイメージ共有を目的とした場合、比較的費用を抑えられます。

■ 広告・コンペレベル

販売促進資料やコンペ提出用など、高いクオリティやリアルさが求められる場合、より詳細なモデリングやテクスチャリング、高度なライティング設定が必要となり、費用は高くなります。とくに広告用途では、写真と見間違えるほどのリアルさが求められることもあり、15万円を超えることもあります。

● その他の費用変動要因

■ 提供資料の有無と精度

設計図やCADデータが正確に揃っているか、あるいは手書きのラフスケッチから始めるかなど、制作に必要な資料の有無や精度によって作業工数が変わるため、費用に影響します。

■ 納期

通常よりも短い納期での制作を依頼する場合、特急料金が発生することが一般的です。

■ 変更回数

基本的な変更回数が定められている場合が多く、それを超える変更は追加費用となることがあります。

このように、住宅パースの費用はさまざまな要素で決まります。どのような目的で、どの種類のパースが必要なのか、求める品質レベルはどの程度かを明確にすることで、より正確な費用感を把握しやすくなります。

● 施主へのプレゼンを目的とする場合

施主への提案が目的であれば、建物の全体像や内部空間のイメージをわかりやすく伝えることに重点を置きます。外観パースや内観パースが中心となります。初期段階のイメージ共有であれば、手書きパースの温かみや、比較的コストを抑えたCGパースなどが適しています。細部よりも、大まかな雰囲気やコンセプトが伝わるように依頼すると良いでしょう。

● 販売促進・広告での利用を目的とする場合

販売促進資料や広告での使用が目的の場合、高い品質とリアルさが強く求められます。写真のようにリアルなCGパースが効果を発揮します。建物の魅力やデザイン性を最大限に引き出すため、素材感、ライティング、周辺環境の描写など、細部にまでこだわった制作を依頼することが重要です。ターゲット層に響くアングルや雰囲気づくりも考慮が必要です。

● 建築コンペへの提出を目的とする場合

建築コンペへの提出では、設計意図を正確かつ魅力的に伝えることが求められます。外観や内観に加え、敷地全体の計画を示す鳥瞰パースも有効な場合があります。提案のコンセプトやテーマに合わせて、パースの表現方法やトーンを調整することで、より説得力のある提案資料となるでしょう。

● 目的明確化のメリット

このように、パースを利用する目的を明確にすることで、必要なパースの種類や品質レベルが定まります。これにより、制作会社に対して具体的な要望を伝えやすくなり、スムーズなコミュニケーションと効率的な制作につながります。結果として、イメージどおりのパースをより確実に手に入れられます。